電気設計や設備工事の現場では、必ずと言っていいほど「電気図面」が登場します。
しかし「電気図面」と一口に言っても、単線結線図・複線結線図・シーケンス図など、様々な種類が存在し、それぞれ役割や用途が異なります。
私も設計職になりたての頃は、知っている電気回路と言えば中学校で習う四角い回路図くらいでした。
しかし、実務を通して様々な図面の種類があることを知り、役割を理解していきました。
この記事では、
電気図面の基本知識から具体的な種類、現場での活用方法まで徹底解説します。
初心者の方はもちろん、実務で図面を使う技術者の方にも役立つ内容です。
電気図面とは?

まず「電気図面」とは何かを整理しましょう。
電気図面とは、電気回路や設備の構成を図面上で視覚的に表した設計図のことを指します。
電気の流れ 配線の接続関係 機器や機材の配置 制御の動作順序
これらを正確に伝えるために、複数の種類の図面が使い分けられます。
そのため、電気工事士や設計者、施工管理者にとって電気図面を正しく理解することは必須スキルです。
電気図面の種類一覧
電気図面にはさまざまな種類がありますが、本記事では代表的な以下の5つを紹介します。
今回紹介する図面は5種類です。
単線結線図 複線結線図 系統図 シーケンス図 レイアウト図
現場、企業ごとに呼び方が違ったりしますが、今回は一般的な呼び方で紹介します。
1. 単線結線図(Single Line Diagram)
単線結線図とは?
単線結線図は、電気回路を1本の線でシンプルにに表した図面です。
本来は複数の電線が存在しますが、それらを省略して「単線」で描くことで、回路全体の構成を直感的に理解しやすくしています。
特徴と役割
電気設備の全体像を把握するのに最適です。
配線の細部ではなく、機器や回路の接続関係を理解できる 施工前の打ち合わせや、基本設計段階でよく使われます。
活用例
- 住宅やビルの受変電設備図
- 太陽光発電システムの設計図
- 工場の配電盤構成の概要
2. 複線結線図(Wiring Diagram)
複線結線図とは?
複線結線図は、実際の配線を電線ごとに描いた図面です。
電線の本数や接続方法が明確に表されているため、施工現場でそのまま活用されます。
特徴と役割
実配線とほぼ同じ構造で表記される 電線の接続や色分けも分かりやすい 工事現場で必須の図面
活用例
- 電気工事士の技能試験で必ず使われるコンセントやスイッチの結線図
- 盤内の配線作業指示
3. 系統図(System Diagram)
系統図とは?
系統図は、電力の流れや回路の階層構造を示した図面です。
発電から受電、配電に至るまでの流れを上位から下位に向かって階層的に表します。
特徴と役割
電力の流れを理解しやすい 設備規模が大きい場合に便利 トラブル発生時の系統解析にも役立つ
活用例
- 発電所や変電所の系統管理
- 工場や大型ビルの受変電設備図
- 電力会社の配電システム設計
4. シーケンス図(Sequence Diagram)
シーケンス図とは?
シーケンス図は、制御回路の動作順序を表した図面です。
モーターの起動や停止、インターロック、センサー検知などを順番に記載します。
特徴と役割
制御盤や自動化設備の必須図面 リレーやスイッチの動作関係を把握できる 異常時のトラブルシューティングに役立つ
活用例
- エレベーターの制御回路図
- 生産ラインの自動化設備
- 空調機器やポンプ制御
5. レイアウト図(Layout Diagram)
レイアウト図とは?
レイアウト図は、機器や配線の配置を建物や設備に重ねて表した図面です。
平面図に照明・コンセント・機械配置を描き込み、施工イメージを具体化します。
特徴と役割
機器の物理的な位置関係を表す 施工現場での配置指示に必須 建築図面との整合性を確認できる
活用例
- 建築物の電気設備配置図
- 工場レイアウトの設計
- 照明計画図
電気図面を理解するメリット
電気図面を正しく読み解けると、以下のメリットがあります。
設計段階でのミスを防げる 施工現場での効率が向上する トラブル発生時に原因を特定しやすい 建築や機械分野との協働がスムーズになる
特に単線結線図と複線結線図の違いを理解することは、電気工事士試験の学習でも重要です。
まとめ

ここで紹介した5種類の電気図面を比較すると、以上のような役割分担が見えてきます。
それぞれに役割があり、目的や用途がことなることがわかります。各図面を使い分けることで製造の現場は効率的に動くことができます。
生産性の高い製造を行うためにも、適切に図面を使い分けましょう!
最後に
本記事では、
電気図面の種類(単線結線図・複線結線図・系統図・シーケンス図・レイアウト図)
について解説しました。
それぞれの図面には役割があり、設計・施工・保守のどの段階でも必要不可欠です。
電気工事士や設備技術者を目指す方は、まずこれらの違いを理解することが第一歩となるでしょう。
電気図面の読み方をマスターしたい方は、電気工事士試験の過去問題や実際の施工図を参照するのがおすすめです。