電気や電子機器を勉強していると、「インバータ」や「コンバータ」という言葉をよく耳にします。言葉の響きが似ているため、「違いがよく分からない」という人もいるのではないでしょうか。
どちらも電気を変換する装置ですが、意味や役割は少しずつ違います。
この記事では、初めて学ぶ人でも理解できるように、インバータとコンバータの違いを図や例を交えながらわかりやすく解説します。
インバータとは?
まずは「インバータ」について整理しましょう。
インバータは、直流(DC)を交流(AC)に変換する装置です。
- 直流(DC)とは?
電流が一定方向に流れる電気のこと。乾電池や車のバッテリーが直流の代表です。 - 交流(AC)とは?
電流の向きが周期的に変わる電気のこと。家庭用のコンセントは交流で、50Hzや60Hzの波形になっています。
インバータの身近な利用例
- 太陽光発電システム
パネルが発電するのは直流ですが、家電製品は交流で動きます。そこで直流を交流に変えるインバータが必要です。 - 電気自動車(EV)
バッテリーは直流を蓄えますが、モーターは交流で駆動します。バッテリーの直流を交流に変えるのがインバータの役割です。 - 家庭用蓄電池やUPS
停電時にバッテリーの直流を交流に変換し、家電やPCに供給します。
インバータ=直流から交流への変換専用装置と覚えると分かりやすいです。
コンバータとは?
次に「コンバータ」です。
インバータが「直流→交流」の変換に特化しているのに対し、コンバータはもっと広い意味を持ちます。コンバータ=直流交流や電圧・周波数を変換する装置の総称です。
なぜコンバータが必要?
身の回りの電子機器は、発電所から供給される電気をそのままでは使うことができません。
例えば、家庭用コンセントから供給される電気は交流電流ですが、PCやスマホなどは直流電流で動作します。
このままでは、コンセントにケーブルを刺すだけでは電気がそのまま使えない問題が発生します。ここで使用されるのが「コンバーター」です。
コンバーターは、電気の流れを目的の電気特性に変換するための装置です。
最も広く使用されているコンバーターは、交流電流を直流電流に変換する「AC-DCコンバータ」です。PCやスマホを充電するために使用しているコンバータもAC-DCコンバータです。
コンバータの種類と例
- AC→DC:整流器(レクティファイア)
コンセントの交流を直流に変える装置です。- 例:スマホやノートPCの充電器
- DC→DC:降圧・昇圧コンバータ
電圧を下げたり上げたりする装置です。- 例:車の12V電源から5VにしてUSB機器を充電
- AC→AC:周波数や電圧を変える装置
国や地域で異なる電圧・周波数に対応するために使います。- 例:海外旅行用の変圧器
- DC→AC:インバータ
実はインバータも、コンバータの一種に含まれます。
インバータとコンバータの違いを簡単に比較
ここで、両者の違いを整理してみましょう。
項目 | インバータ | コンバータ |
---|---|---|
主な変換 | DC → AC | AC ⇄ DC、DC ⇄ DC、AC ⇄ AC など幅広い |
役割 | バッテリーの直流を家電やモーター用の交流に変換 | 充電、電圧調整、周波数変換など多目的 |
日常例 | 太陽光発電のパワコン、EVモーター制御 | スマホ充電器、ノートPC電源、海外用変圧器 |
図にすると、「コンバータ」という大きな箱の中に「インバータ」が含まれるイメージです。
初心者が混乱しやすいポイント
「コンバータ=充電器」というイメージ
普段の生活では「コンバータ=充電器」と呼ばれることがあります。
例えば「ACアダプタ」「USB電源アダプタ」も、コンバータの一種です。
ただし本来は、もっと広い意味を持っている点に注意しましょう。
「インバータ=エアコンの技術」という表現
「インバータエアコン」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
この場合のインバータとは、エアコン内部のコンプレッサーモーターを効率的に動かすために周波数を制御する装置を指しています。
つまり、電気的には「直流→交流変換」に関わる技術です。
まとめ
インバータとコンバータはどちらも「電気を変換する装置」ですが、範囲に違いがあります。
- インバータは「直流→交流の専門家」
- コンバータは「電気をいろいろな形に変える広い概念」
この関係を押さえておけば、電気・電子を学ぶ上での基礎理解がスムーズになります。
これから太陽光発電やEV、電子工作などを学ぶときに、この知識が役立つはずです。