電気を使っているときに耳にすることのある「漏電(ろうでん)」。
ニュースでは「漏電が原因で火災が発生」と報じられることもありますが、実際に「漏電って何?」と聞かれると説明できない人も多いのではないでしょうか。
漏電はショート(短絡)と並んで、電気の安全を考える上でとても大事なキーワードです。
この記事では、
初心者でも理解できるように「漏電の仕組み・原因・危険性・家庭でできるチェック方法」
をわかりやすく解説します。
漏電とは?
漏電とは、電気が本来通るべき配線や機器から外に漏れてしまう現象 のことをいいます。
電気は通常、電線の中を通って機器に供給されます。しかし、絶縁が壊れたり湿気が原因で、電気が壁や機器の金属部分、大地(アース)に流れてしまうことがあるのです。
例えば…
- コンセントに水がかかって、電気が壁の中に漏れる
- 古い電気製品でコードの被覆が破れ、金属部分に電気が流れる
- 洗濯機や冷蔵庫の裏で湿気がたまり、内部で漏電する
これらが「漏電」の典型的な例です。
なぜ漏電は危険なのか?
漏電は「電気が逃げているだけ」と思われがちですが、実際には非常に危険です。
1. 感電のリスク
漏電が起きた機器の金属部分に触れると、人の体を通って電気が大地へ流れます。これが 感電事故 です。
場合によっては命に関わることもあり、特に水まわりでは危険度が高まります。
2. 火災の原因
漏電した部分が熱を持ち、周囲の可燃物に引火すると 漏電火災 になります。
「コンセント周りが焦げていた」という事例は漏電が関わっていることが多いです。
3. 機器の故障
漏電は機器の内部で異常な電流が流れる原因となり、故障や寿命の短縮につながります。
漏電の主な原因
では、漏電はなぜ起きてしまうのでしょうか?代表的な原因を整理してみます。
1. 絶縁の劣化
長年使った電気製品や配線は、ゴムや樹脂でできた被覆(絶縁体)が劣化してひび割れや破損が生じます。そこから電気が漏れてしまいます。
2. 湿気や水分
浴室や台所など湿気の多い場所では、配線や機器の内部に水分が入り込み、電気が逃げて漏電することがあります。
3. ホコリやゴミ
コンセントや配電盤にたまったホコリに湿気が加わると、電気がホコリを伝って漏れる「トラッキング現象」が発生します。これも漏電の一種です。
4. 配線や施工ミス
電気工事でのミスやDIYでの誤配線によっても漏電が発生することがあります。
漏電が起きたときのサイン
漏電は目に見えないため、気づきにくいのが特徴です。
しかし、以下のようなサインがある場合は要注意です。
- 分電盤の 漏電遮断器(漏電ブレーカー)がよく落ちる
- 機器を使うときにビリッと軽く感電したことがある
- コンセントやコードに 焦げ跡や焦げ臭いにおい がある
- 家の電気代が急に増えた(漏電で無駄に電気が流れている可能性あり)
こうした症状があれば、漏電している可能性が高いです。
漏電を防ぐための対策
では、漏電を未然に防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?
1. 定期的な点検
古い家電製品やコードは、定期的に状態を確認しましょう。被覆の破れや焦げ跡があるものは使用を中止してください。
2. 水や湿気を避ける
電気製品を水回りで使うときは十分に注意し、浴室や屋外では必ず防水仕様の器具を使いましょう。
3. コンセント周りを清潔に
ホコリやゴミがたまるとトラッキング現象を起こします。特に冷蔵庫や家具の裏など、目に見えないコンセント周りも掃除しておくと安心です。
4. 漏電遮断器を設置する
家庭の分電盤には 漏電遮断器 を設置するのが基本です。
漏電遮断器は微小な漏電を検知してすぐに電気を遮断してくれるので、感電や火災のリスクを大幅に減らせます。
5. 異常があれば専門家へ
もし「漏電かな?」と思ったら、自分で配線をいじらずに電気工事士など専門業者に相談することをおすすめします。
家庭でできる漏電チェック方法
実は家庭でも簡易的に漏電をチェックする方法があります。
- すべての電気機器をOFFにする
- 分電盤の 漏電遮断器をONにする
- 一つずつブレーカーを上げて機器をONにし、どの回路で遮断されるか確認する
この方法で「どの回路が漏電しているか」を切り分けることができます。
ただし、正確な診断や修理は専門業者でなければ難しいため、異常を見つけたらすぐに依頼しましょう。
まとめ
漏電は「電気が漏れてしまう現象」で、感電事故や火災など重大なトラブルの原因になります。
- 原因:絶縁劣化、水分、ホコリ、施工不良など
- 危険性:感電・火災・機器の故障
- 対策:点検・清掃・防水・漏電遮断器の設置
ショートと違い、漏電は目に見えにくいため、気づかないうちに危険が進行していることもあります。だからこそ、日頃の点検や漏電遮断器による保護がとても大切です。
電気は便利で生活に欠かせない存在ですが、正しく使わないと命に関わる事故を招きます。
ぜひ今回の記事を参考に、身の回りの電気環境をチェックしてみてください。