機械振動が制御機器に与える影響について解説!【事例と対策を紹介】

電気設計について

工場や製造現場では、モーターやポンプ、コンプレッサーなどの回転機械が常に稼働しています。

こうした機械は必然的に「振動」を発生させますが、この振動は周囲の制御機器にも影響を及ぼす可能性があります。

制御盤やPLC、センサーなどは精密機器であり、外部からの振動が長期的に加わることで誤作動や寿命低下のリスクを招きます。

では、具体的にどのような影響があるのか。そして設計職や保全担当者はどのように対策すべきなのでしょうか。

この記事では、「機械振動が制御機器に与える影響」を解説します!

機械振動は制御機器の寿命と信頼性を低下させる

先に結論を述べると、機械振動は制御機器に対して以下のような悪影響を与えます。

  1. 電子部品やハンダ接合部の疲労による寿命低下
  2. コネクタや端子台の接触不良
  3. センサーやリレーなど精密部品の誤作動
  4. 長期的な制御盤全体の損傷やノイズ影響

つまり、振動は単なる「揺れ」ではなく、制御システム全体の信頼性を左右する要因なのです。したがって、設計や設置時点で対策を講じることが非常に重要です。

工作機械や食品機械は、とにかく動き続けることが生産性の向上につながります。機械がストップする間は製品生産もストップしてしまうので、機械振動によるトラブルは最小限にとどめることが望ましいです。

では、それぞれの影響について以下で詳しく説明します。

機械振動が制御機器に与える具体的な影響

電子部品やハンダ接合部の疲労による寿命低下

電子回路に使われるコンデンサやICなどの部品、またそれらを基板に固定するハンダ接合部は、長期間の使用で徐々に劣化していきます。

特に温度の上昇と下降を繰り返す環境では、金属部分が膨張・収縮を繰り返し、ハンダに微細な亀裂が入ることがあります。

この「熱疲労」が進むと、電気的な導通が途切れて部品が動作しなくなり、製品全体の寿命を縮める原因となります。

コネクタや端子台の接触不良

制御盤や機器の内部では、多くの配線がコネクタや端子台で接続されています。

しかし、長期間の使用や振動、埃の付着によって、接触面に酸化皮膜や汚れが発生し、電気信号がうまく流れなくなることがあります。

接触不良は断続的なトラブルを引き起こすため、原因の特定が難しい点が特徴です。そのため、定期的な清掃や締め付け確認が欠かせません。

センサやリレーなど精密部品の誤作動

制御系に組み込まれるセンサは、非常に繊細な部品です。
外部環境のノイズや温度変化、さらには経年劣化によって、検出信号が乱れすことがあります。

また、リレーが誤って作動したりすることがあります。
リレーは物理的な金属の接点が触れるによってONとOFFを切り替えています。機械の振動が原因で、意図しないタイミングでリレーの接点がONになってしまうトラブルもあります。

これらの誤作動は、制御システム全体の動きを不安定にし、予期せぬトラブルや機械が停止することによって生産がストップすることにつながります。

長期的な制御盤全体の損傷やノイズ影響

制御盤は長期間稼働する設備の中核ですが、内部の部品が劣化したり、外部からの電磁ノイズが侵入したりすることで、徐々に信頼性が低下します。

特にケーブルの絶縁劣化や回路の接地不良が発生すると、ノイズの影響を受けやすくなり、計測値の誤差や制御信号の乱れにつながります。

結果として、システム全体が誤作動するリスクが高まり、安定稼働に支障をきたします。


これらのケースでは、振動の影響を軽視すると数年で故障が頻発する可能性があります。

機械振動による影響を防ぐための対策

1. 設置場所の工夫

最も基本的な対策は、制御機器を振動源から離すことです。

制御盤を装置本体と一体になっていることもありますが、これでは機械振動の影響も直接受けることになります。

振動が激しい機械では制御盤を独立させ、直接地面に設置するなどの工夫をすることで盤内のPLCやリレーに伝わる振動を最小限にできます。

2. 防振材・防振ゴムの活用

どうしても振動源から機器を話すことができない場合は防振用のゴムを取付ける方法もあります。

制御盤の下部に防振ゴムを敷いたり、制御機器をマウントする際にダンパーを使用することで振動を吸収できます。

機器を守る方法の一つとして覚えておきましょう!

3. 配線と固定の強化

ケーブルをフリーにせず、配線ダクトや結束バンドでしっかり固定することも有効な手段です。

長いケーブルが空中にぶら下がっている状態は、ケーブルと機器にとって好ましくない状態です。機械の振動をうけて、固定されていないケーブルは大きく揺れます。

これは端子などにとっては大きな負担となり、機器寿命が短くなってしまいます。固定できるものは、できるだけ固定してあげましょう!

4. 耐振設計された制御機器の採用

メーカーによっては耐振動仕様のPLCやセンサーを提供しています。

過酷な環境では、標準品ではなく耐環境型を選択することが望ましいです。

5. 定期点検と予兆管理

振動は故障を「予兆」として示す場合があります。

加速度センサーを用いて振動をモニタリングすることで、制御機器の不具合を早期に発見できます。

具体例(搬送装置の制御盤トラブル)

ある工場では、搬送装置の制御盤を装置フレームに直付けしていました。

数年後、センサー信号の途切れが頻発し、生産が停止するトラブルが発生しました。調査の結果、端子台の緩みが振動によって発生していたことが判明しました。

対策として制御盤を独立架台に移設し、防振ゴムを追加したことでトラブルは解消しました。

この事例は「設置方法の工夫」がいかに重要かを示しています。

まとめ

本記事では「機械振動が制御機器に与える影響」について解説しました。

  • 振動は電子部品の劣化、端子の緩み、センサーの誤作動を引き起こす
  • 設置場所、防振材、耐振設計機器の活用が効果的な対策
  • 定期的な点検と予兆管理が信頼性向上に繋がる

制御機器は安定した動作が最優先です。振動対策を軽視すれば、突発的な停止や故障リスクが高まり、結果的に生産性を下げてしまいます。

設計段階から「振動」を意識することが、安定した制御システム構築の鍵となるでしょう。