RSTとUVWの違いとは何なのか解説します!

回路図を見ていると「RST」と「UVW」という見たことがあるかもしれません。

どちらも電気回路に関連する用語ですが、「結局どう違うのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

初心者の方にとっては、「RSTとUVWの違いを正しく理解しておかないと、設計図面やマニュアルを読み解けない」という場面に直面することがあります。

実務に入ってから「実はよく分かっていなかった」と気づくと、思わぬミスやモータの破損につながる恐れもあります。

そこで本記事では 、RSTとUVWの違いをわかりやすく解説します!

RSTとUVWの違いを正しく理解しよう

結論からお伝えすると、RSTとUVWはどちらも三相交流を表す記号です。しかし、その意味合いや使われ方が少しずつ異なります。

RSTは電源側の三相交流を指す記号です。
「相(フェーズ)」そのものを指す記号で、一次側に近い電線の相順や結線を表すときに使われます。

一方で、UVWはモーター側の端子記号としてよく用いられます。
三相モーターの巻線の接続点や入力端子を表す際に使われます。

つまり、RSTは「入力側の電源相」を示し、UVWは「出力側のモーター端子」を示すものと考えると分かりやすいのです。

ではそれぞれについて詳しく解説していきましょう。

RSTとUVWの使い分けを理解する重要性

それでは、なぜこのように区別されているのでしょうか。

理由は「どの立場から三相交流を扱っているか」にあります。

制御盤の中で扱うときは、三相交流のそれぞれの相を区別する必要があります。相順(例えばR→S→Tの順番で回るかどうか)は非常に重要です。

もしも、モータの動力配線の接続を間違えてしまえばモーターの回転方向が逆になってしまいます。そのため電源の側では、RSTという表記が定着しているのです。

また、インバータという機械の立場から見れば、電源側とモータ側の識別は重要です。

インバータは動力側と負荷側の接続する箇所が決まっています。

つまり、インバータの動力側にはRST、負荷側にはUVWを接続すれば良いということになります。

同じ文字を使っていると分かりにくいですが、文字を変えれば分かりやすいですね。

現場での具体例

具体例を挙げてみましょう。
あなたが工場で三相誘導モーターを設置する現場にいるとします。

分電盤からは三本の電線が伸びています。それぞれR相、S相、T相とラベルが貼られています。これがいわゆるRSTです。

一方で、モーターの端子箱を開けると、UVWと刻印された端子台が並んでいます。このUVWに、電源のRSTを接続していくのです。

例えば、以下のように接続したとします。

  • R相 → U端子
  • S相 → V端子
  • T相 → W端子

この場合、モーターは設計通りの正転(時計回り)をします。

しかし、もし次のように間違えてしまったらどうでしょうか。

  • R相 → U端子
  • S相 → W端子
  • T相 → V端子

このように二本を入れ替えると、モーターは逆転(反時計回り)してしまいます。
このことからも分かる通り、RSTとUVWは「表裏一体の関係」にあります。RSTは電源側の論理を表し、UVWはモーターの機械的な視点を表す。その2つを正しく対応させることこそが、安全で効率的なモーター運転に欠かせないのです。

また、実務上はRSTという表記の代わりに「L1、L2、L3」といった国際規格に基づいた表記が使われることもあります。海外メーカーのインバータや制御盤を扱うときには、RSTとL1L2L3、そしてUVWを頭の中で対応づける必要があります。これを知らないと、現場で配線ミスを起こしかねません。

さらに補足すると、RSTやUVWといった表記は教科書やカタログだけでなく、現場の電気工事士同士の会話にも登場します。
「じゃあ、RをUにつないで、SをV、TをWに頼むね」といった具合です。まさに、電気の専門家同士が共通言語として使う“符号”なのです。

まとめ

まとめると、RSTは「電源側」UVWは「モーター側」というケーブル接続位置に違いがあります。

  • RST:電源側の三相を表す記号(相の区別と相順を重視)
  • UVW:モーター端子側の記号(入力と回転方向を重視)

両者を正しく対応づけることで、モーターは狙い通りに動作します。逆に言えば、両者を取り違えると回転方向が逆になったり、最悪の場合は設備トラブルにつながることもあるのです。

三相交流という言葉は難しそうに聞こえますが、実際にはRSTとUVWの関係性を押さえるだけでも理解がグッと深まります。

電気設計や工事の現場に関わる方はもちろん、これから電気の知識を身につけたい人にとっても、この違いを知っておくことは非常に価値があるでしょう。